以前、仕事をしていた編プロの編集さんに言われた事をいつも思い出します。
”人間の欲求に繋がる商売は絶対無くならないですから”
ちなみに10年以上前の話です。
かれこれ十数年、業界の末席に居させて頂いていますが、
多分、この考え方はこの先も間違っていないと思います。
それよりももっと前、”悪書追放運動”当時が一番酷かった時期ではないかと
思うのですよ。
何しろ、エロと名のつく本が日本全国全ての本屋から無くなったのですから。
その頃から比べれば、インターネットをはじめとして、
本を取り巻く環境は目まぐるしく変わりましたし、
各個人が発信し、得られる情報は飛躍的に増えました。
何事も限度はあるでしょうが、アグネスが幾ら涙を流そうが、
ここまで大きくなったものを法律で規制して根絶やしに出来るはずもないですし。
規制したがる人たちは、”青少年の健全な育成”という錦の御旗の元で
現実的な勉強もせず、昔と何一つ変わらないような事しか言ってい無い現状で
いくら話し合っても無駄なわけで。
一般の人も、報道を見れば解かるようにほとんど理解も無く、
成人マークが付く意味すら知らない人ばかりでしょう。
送り手である私はと言えば、
ネタ的にNGが多く、ある程度既に表現の規制が掛かった商業の場で漫画を
書いています。
先日東京都から、私の単行本が不健全図書に指定されたわけですが、
出版社に対して指定が出たわけで、
私のあづかり知らないところで、私の単行本が番号で呼ばれて
議論も無く、弁解、説明の機会も無く指定の結論が出ている
あまりに理不尽な現状を、更に規制するわけですから、
今回の規制は正気の沙汰とは思えません。
数年前は、エッチシーンを4ページ作中に挟んだら、
3ページにしてくれなんて言われたこともありましたね。
多かれ少なかれ、表に出る出ないありますが、
規制の程度に対しては波もありますし。
その中で面白い漫画を作ろうと日々血反吐を吐いているわけです。
少なくとも、この問題は、一般の方々の無理解に起因する部分も多く
この先もこういった話題は数多く取り上げられる場面があると思います。
この問題が浮上するたびに、自分の立ち位置が非常に危ういものなんだなと
再確認させられますが、
自分としては、反対の声を上げると同時に、
”んじゃぁ、この状況下で、皆さんに楽しく漫画を読んでいただく為には
一体どうすればいいのか”
なんて考えをめぐらせるのであります。